王立中央アフリカ博物館でベルギーの歴史を学ぶ
Bonjour!ソフィです。
先週の土曜日、とてもお天気が良かった日に王立中央アフリカ博物館に行ってきました。
少し真面目な内容も含まれますが、ベルギーに住むにあたり知っておいて損はないと思うので、誰かの学びの糸口となれたら嬉しいです。
ベルギー王国とコンゴ民主共和国の関係
ブリュッセル市内を歩いていると、ドイツではあまり見かけなかったアフリカ系らしき人とよくすれ違います。ベルギーの植民地がアフリカにあったからだな、とぼんやり認識していましたが、今回アフリカ博物館に行くにあたって少し調べてみました。
1885年、当時のベルギー国王レオポルド2世がコンゴ王国を”コンゴ自由国”として私有地化して以降、ベルギーとコンゴは切っても切れない関係となりました。国王の私有地だった”コンゴ自由国”の時代、現地の人々は不当な労働と搾取に苦しみました。それに対して諸外国からレオポルド2世への批判が集中。そのため1908年、レオポルド2世の私有地”コンゴ自由国”はベルギー政府の植民地”ベルギー領コンゴ”となり、やりたい放題のレオポルド2世から逃れることで状態は多少改善されたそうです。それ以降1960年に独立宣言が出されて”コンゴ共和国”となるまで、ベルギーの一部として扱われていました。(”コンゴ共和国”以降は”ザイール共和国”を経て1997年に現在の”コンゴ民主共和国”に。)
この期間のコンゴへの残虐行為に対し2020年6月、ベルギーのフィリップ現国王がベルギー国王として初めて遺憾の意を表した書簡をコンゴのチセケディ大統領宛に送るという歴史的な出来事がありました。(当時はアメリカで白人警察官による黒人男性暴行殺害事件があり、世界的に差別撲滅運動が盛んとなっていた時期。ベルギーでもアントワープのレオポルド2世像が襲撃されたため撤去されるという事件があった直後でした。)
またフィリップ国王は今週日曜日の3月6日から5日間コンゴを訪問する予定で、それに際し国王の叔母エスメラルダ王女は2月、ベルギーがコンゴに正式に謝罪するべきだと進言したとのことです。
コンゴ独立から60余年、両国の雪解けとなるのでしょうか……。
王立中央アフリカ博物館
公式サイト
Royal Museum for Central Africa - Tervuren - Belgium
チケット
大人 €12
65歳以上 €8
学生 €4
18歳以下 無料
*特別展(Human Zoo)は別料金で、常設展と一緒に購入すると大人は16ユーロ(特別展のみは10ユーロ)です。
*2022年3月現在、入館にはCovid Safe Passが必要です。
平日/ 祝日 10時〜17時
土日 10時〜18時
月曜定休
行き方
場所はブリュッセルの郊外東側、Tervurenにあります。
ブリュッセル市内からだとメトロ1番でMongomeryまで→トラム44番に乗り換えて終点のTervuren下車、徒歩3分ほどです。
ちなみにアフリカ博物館はTervuren公園の中にあり、このTervuren公園がとっても広くてきれい!今回は時間がなかったけれど、今度またお天気の良い日に公園ピクニックに来たいなと思いました。
博物館の向かいにガラス張りの建物があるのでそこでチケットを購入し、地下通路を通って博物館まで向かいます。
このガラス張りの建物は1階にお土産ショップ、2階にTemboというレストランがあります。
博物館を見る前にここで早めのランチにしたのですが、運よく窓際の席になり公園と博物館を見ながらのんびりできました。
私が食べたのはチキンモアンベ。
カレーのようだけどまったく辛くなく、クリーミーでコクのある味でした。
こういうアフリカ食の他にもハンバーガーやパスタもあったので、見知らぬ料理はちょっと…という方でも気軽に立ち寄れます。
特別展 Human Zoo(人間動物園)
昨年11月から行われていた特別展Human Zoo、今週日曜日3月6日までの展示です。
実は今回このアフリカ博物館を訪れたのは夫の希望で、私は当日行くまでどんな展示があるのかも知らず、かつてHuman Zoo=人間動物園というものがあったということすら知りませんでした。
レオポルド2世が”コンゴ自由国”を作った19世紀終わりごろ、自分たちとは見た目の違う人種・種族(黒人に限らず特徴を持ったアジアの少数民族なども)を連れてきて実際に生活させ、それを見物するというHuman Zooが万博などで大流行りだったそうです。
この特別展ではその当時の映像や写真、万博のポスターやお土産品など、たくさんの資料を見ることができます。
ちなみにこのアフリカ博物館があるTervuren公園、レオポルド2世が柵の中に”村”を作り267人のコンゴ人を”展示”した場所だそう。当時は1日4万人の見物客が訪れるほど大盛況だったとのことです。
Human Zooという存在の衝撃と、人間は一歩間違えるとそれを楽しんでやってしまいかねない怖さを感じる展示でした。現代ではそこまであからさまな人種差別は世が許さないけれど、身近なところでいえばイジメも同じ心理からくるものでしょうし、こうして外国に暮らしていると良くも悪くも”アジア人だから””日本人だから”という扱いを受けます。小さな差別は今も身の回りでたくさん起きています。
Human Zooを過去のものとして見るのではなく、現代の自分たちへの戒めとして感じなければと思いました。
アフリカ博物館(常設展)
Human Zooはとても考えさせられる展示でしたが、あまりにじっくり時間をかけて見すぎたため疲れたのと、内容が内容だっただけに重い気持ちに。
ところが常設展に入ると、アフリカの音楽🎶 ダンス🕺 動物🐘🦓🐆🦅 と続くのでなんだかホッとしました笑。私が期待するアフリカはこれだった!という感じ。
アフリカ音楽のリズムの取り方や音階の説明もあり、なるほど〜確かにアフリカっぽい!と感じられおもしろかったです。
Heritage Appをダウンロードしてこのピンクのマーク↓をアプリ内カメラで読み込むと、詳しい解説を見ることができます。(仏・蘭・独・英のみ)
アプリの中に音声解説もあったのですが、始まるタイミングがよくわからなくて使いこなせませんでした…。
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重い内容もありましたが、アフリカだけでなくベルギーの歴史を知る良い機会となりました。
常設展はダンスルームがあったり動物の剥製がたくさんあったりで、来ていた子どもたちも楽しんでいるようでした。
少し郊外で自然がいっぱいなので、お天気の良い日に遠足気分で出かけてみてはいかがでしょうか。