エドノベーキューの謎
昨年の秋頃、突然夫が言いました。
「エドノベーキュー!」
何を言い出したのかと思ったら、「バスでよく言ってるでしょ」とのこと。
どうやらバスの車内放送で聞こえてきたものをそのまま口真似しているようなのです。
私はその日までまったく気にしたことがなかったのですが、翌る日夫とバスに乗っていたら、確かに
「エドノベーキュー!」
と聞こえます。
一度気になり始めたら、それ以降バスに乗るたびに耳についてしまい気になってしかたがありません。いったいエドノベーキューとはなんなのか…?
ブリュッセル内を走るSTIBのバスの車内放送はフランス語とオランダ語が必ずセットになっています。そして、例のエドノベーキューはおそらくフランス語の放送の最後の部分。でも当時の私には、それがフランス語っぽいということがかろうじてわかる程度で単語はなにひとつわかりませんでした。
それから数週間後。
何度もバスに乗っているうちに、どうやらその放送のオランダ語の部分では駅や車内でのマスク着用をお願いしているようだということに気づきました。(オランダ語とドイツ語はかなり近い言語なので、ぼんやりとですが内容がわかるときもあります。)
さらに数週間後。
この頃にはフランス語の単語が少しずつわかるようになってきて、「エドノベーキュー……エはet(英語のand)かな?ドは… dans(英語のin)??じゃぁノベーキューは?ノベーキュー?オベーキュー??」あまり自信はないけれど、少しずつ考えられるように。
そしてついにその数週間後。
その日乗っていたバスはEU地区を走るバスで、いつもの2言語のほかに英語の車内放送もありました。そうだ、英語なら最後に何を言っているかわかる!それをフランス語で検索したらエドノベーキューの謎が解けるかも!
その結果英語だと「マスクつけてね〜〜〜、in the vehicles(車内で)」だということがわかりました。車内ってフランス語だとなんて言うんだろう?voitureだと乗用車ってことになっちゃうのかな…なにか特別な言い方があるのかな?と思いながらGoogle翻訳でvehicleのフランス語訳を検索してみると……
véhicule…ヴェイキュール……ベーキュー!これかー!!!
そんな風にして、数ヶ月悩み続けたエドノベーキュー問題はつい最近ようやく解決しました。
あらためて言語のわからない土地で暮らすのは大変だなと思ったし、一方で言語を学んで少しずつ理解できていくときの喜びも感じました。そしてフランス語はうしろの単語とくっつきたがりがちだし読まない文字もたくさんあるから耳だけで理解するのは相当な鍛錬が必要だと痛感。
実際車内放送のエドノベーキュー以外の部分はいまだにさっぱりわからないので、まだまだ精進が必要です。先が長い!
その後バス停で夫が発見したエドノベーキュー=et dans nos vehicules(最下段)
ベルギーのコロナ対策は地域によって少しずつ差があるようですが、少なくともブリュッセルでは現在お店や公共交通機関の中ではマスク着用、でも屋外では義務ではないことになっています。実際屋外だと8割くらいの人はマスクなしで歩いています。
ところが、電車やバスでもマスクをしない人が一定数います。たまにどころか、1車両に1〜3人くらいいるイメージ。(利用する路線にもよるかも。マナーの良い路線もあります。) バスの運転手さんは見えていないのか気にしないのか、注意する様子もありません。
隣国ドイツはマスク義務を怠るとたしか高額罰金だし、マスクの種類も布マスクはだいぶ前から禁止になっています。屋外でのマスク義務はベルギー同様ありませんが、心なしかドイツのほうが着用率が高かった気がします。 隣国とはいえかなり差があるように感じるのは、その辺りも国民性なのでしょうか。
ちなみにドイツのほうが規制は厳しいですが、人口対最近の感染者数比はドイツのほうが多いようです。なにが正しいかとは一概に言えないのかもしれないですね。